黒野さんと武田君 第3話 文化祭でたこ焼きを作る
【武田】「どうするんですか、こんな間違いしちゃって。もう、文化祭二時間後なんですよ!」
【黒野】「ごめん、反省してます。でも、誰でも間違いはあるよ。ほら、たったの一文字の間違いじゃん」
【武田】「一文字でもダメですよ! たこ焼きの出店するはずなのに、たい焼きの機材レンタルしてどうするんですか!」
【黒野】「でも、食材はちゃんとたこ焼き用のものを揃えてきたよ」
【武田】「一番まずいですよ! タコ使ってどうやってたい焼きやるんですか!」
【黒野】「ま、でも、すでにある物でどうにかすること考えるしかないし、私がどうにかするわ」
【武田】「なんか、案あるんですか?」
【黒野】「たい焼きの具をタコにしよう」
【武田】「なんか気持ち悪いですよ。タイに捕食されてるみたいになってる」
【黒野】「じゃあ、カレー味にしてみる?」
【武田】「ああ! そうやってすぐにカレーに頼ろうとする! なんでもカレー味を作ったらいいって発想はダメです。とくにカレー味とか最低です。チーズの風味がカレーで消えるんですよ。全部カレーの味になるんですよ! あと、カレーラーメンも許しがたい所業ですね。ラーメンってものを冒涜してる、いや、たしかに、北海道にカレーラーメンの名店はありますよ、そういう例外はありますけど、大半はカレーによる味覚破壊、文化破壊の所業です!」
【黒野】「ごめん、そんなカレーを憎んでるとは思わなかった……。そんな主張されてるとは思わなかった……」
【武田】「カレーにはちょっと嫌な思い出があるんです。とにかく、カレーもダメです」
【黒野】「じゃあ、具に薄力粉を入れて、小麦粉で薄力粉を覆った――」
【武田】「具ないよ! 粉しか入ってないわ!」
【黒野】「でも、タコとネギを消費しないとまずいしねえ……じゃあ、名前のほうを変えよう。ブリ焼きとか」
【武田】「明らかにタイですよ。どう見ても、さかなへんに周!」
【黒野】「じゃあ、白たい焼きみたいなノリで青たい焼きとかにする?」
【武田】「無茶苦茶まずそうだろ!」
【黒野】「食紅とか面倒だから、美術部から絵の具借りてこよ」
【武田】「不味そうとか以前に本当に有害だ!」
【黒野】「たい焼きの『い』を左に90度曲げればいいんじゃない?」
【武田】「無理してたこ焼きに名前変えても、たい焼きの鉄板しかないんですよ! みんな店間違えたと思う!」
【黒野】「もう、注文多いなあ……。じゃあ、それっぽい名前でごまかそう。ノブナガ焼きとか」
【武田】「一切、織田信長関係ないわ! さも、由来あるような名前つけない!」
【黒野】「ああ、わかった、わかった! じゃあ、実際にネギとタコ入れて焼いてみるから、美味いかどうかで判断してよ」
【武田】「ああ、わかりました! でも不味かったら責任とってくれるんでしょうね!」
【黒野】「とるよ! 運営本部行って、武田君が機材間違ったんで、お店ひらけなくなりましたって涙を交えて言ってくるわよ!」
【武田】「なんで、僕が無茶苦茶悪者になってるんですか! 先輩が涙流して謝りに行くって最低じゃないすか! どうして、思いっきり責任転嫁するつもりで啖呵切った!?」
【黒野】「よし、今から作るわよ! 卵用意した。だし汁もある。ネギもタコもある…………あれ」
【武田】「どうしました?」
【黒野】「小麦粉忘れた」
【武田】「は…………」
【黒野】「……………………てへっ」
【武田】「てへ、じゃねえ!」
完
【武田】「どうするんですか、こんな間違いしちゃって。もう、文化祭二時間後なんですよ!」
【黒野】「ごめん、反省してます。でも、誰でも間違いはあるよ。ほら、たったの一文字の間違いじゃん」
【武田】「一文字でもダメですよ! たこ焼きの出店するはずなのに、たい焼きの機材レンタルしてどうするんですか!」
【黒野】「でも、食材はちゃんとたこ焼き用のものを揃えてきたよ」
【武田】「一番まずいですよ! タコ使ってどうやってたい焼きやるんですか!」
【黒野】「ま、でも、すでにある物でどうにかすること考えるしかないし、私がどうにかするわ」
【武田】「なんか、案あるんですか?」
【黒野】「たい焼きの具をタコにしよう」
【武田】「なんか気持ち悪いですよ。タイに捕食されてるみたいになってる」
【黒野】「じゃあ、カレー味にしてみる?」
【武田】「ああ! そうやってすぐにカレーに頼ろうとする! なんでもカレー味を作ったらいいって発想はダメです。とくにカレー味とか最低です。チーズの風味がカレーで消えるんですよ。全部カレーの味になるんですよ! あと、カレーラーメンも許しがたい所業ですね。ラーメンってものを冒涜してる、いや、たしかに、北海道にカレーラーメンの名店はありますよ、そういう例外はありますけど、大半はカレーによる味覚破壊、文化破壊の所業です!」
【黒野】「ごめん、そんなカレーを憎んでるとは思わなかった……。そんな主張されてるとは思わなかった……」
【武田】「カレーにはちょっと嫌な思い出があるんです。とにかく、カレーもダメです」
【黒野】「じゃあ、具に薄力粉を入れて、小麦粉で薄力粉を覆った――」
【武田】「具ないよ! 粉しか入ってないわ!」
【黒野】「でも、タコとネギを消費しないとまずいしねえ……じゃあ、名前のほうを変えよう。ブリ焼きとか」
【武田】「明らかにタイですよ。どう見ても、さかなへんに周!」
【黒野】「じゃあ、白たい焼きみたいなノリで青たい焼きとかにする?」
【武田】「無茶苦茶まずそうだろ!」
【黒野】「食紅とか面倒だから、美術部から絵の具借りてこよ」
【武田】「不味そうとか以前に本当に有害だ!」
【黒野】「たい焼きの『い』を左に90度曲げればいいんじゃない?」
【武田】「無理してたこ焼きに名前変えても、たい焼きの鉄板しかないんですよ! みんな店間違えたと思う!」
【黒野】「もう、注文多いなあ……。じゃあ、それっぽい名前でごまかそう。ノブナガ焼きとか」
【武田】「一切、織田信長関係ないわ! さも、由来あるような名前つけない!」
【黒野】「ああ、わかった、わかった! じゃあ、実際にネギとタコ入れて焼いてみるから、美味いかどうかで判断してよ」
【武田】「ああ、わかりました! でも不味かったら責任とってくれるんでしょうね!」
【黒野】「とるよ! 運営本部行って、武田君が機材間違ったんで、お店ひらけなくなりましたって涙を交えて言ってくるわよ!」
【武田】「なんで、僕が無茶苦茶悪者になってるんですか! 先輩が涙流して謝りに行くって最低じゃないすか! どうして、思いっきり責任転嫁するつもりで啖呵切った!?」
【黒野】「よし、今から作るわよ! 卵用意した。だし汁もある。ネギもタコもある…………あれ」
【武田】「どうしました?」
【黒野】「小麦粉忘れた」
【武田】「は…………」
【黒野】「……………………てへっ」
【武田】「てへ、じゃねえ!」
完
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